CBDオイルってなに?
CBD とは「Cannabidiol; カンナビジオール」の略称で、大麻草等に含まれるカンナビノイドという成分の一種です。
また、大麻草から抽出したCBDをココナッツオイルやオリーブオイルに配合した製品のことを、CBDオイルと呼びます。
大麻草は、衣服などの繊維として活用されていたり、園芸にも用いられたり、食用としても利用されてきました。
日本では神具としても古くから愛されています。
しかし、現在では「CBDが大麻草から取れる成分」と聞くと、警戒する方が少なくないのが現状です。
マリファナのような薬物を思い浮かべてしまうためです。
マリファナの主成分はTHC [Tetrahydorocannnabinol; テトラヒドロカンナビノール] というカンナビノイドで、CBDとは異なる物質です。
THCは吸引すると「ハイ」になるといった精神作用をもたらしますが、CBDにはそのような作用はありません。
寧ろ、CBDにはストレス・不安・精神疾患・不眠症・依存症や中毒症状・痙攣・ニキビなどの肌荒れ・癌などへの効果が期待されており、既にいくつかの有効な医療結果もあるのです。
そのため、身体の健康や美容に改善したい悩みを持っている方はCBDを摂取することでよい効果が望めるとも言われています。
効果・効能
1.ストレスを緩和、不安を軽減し、精神疾患の治療に有効
CBDは神経に作用し、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質に対する反応に関わります。
そのため、ストレスの緩和や不安の軽減といった効果をもたらします。
実際に社会不安障害を抱えた人に対し、CBD摂取によって症状を和らげることを示唆する結果も出ています。
12人の社会不安障害を抱えた患者に対し、半数の人がCBDを、もう半分の人が偽薬を摂取し、人前で話すことでどのような違いがあるのかという実験が行われたところ、CBDを摂取したグループは偽薬を摂取したグループと比べ、人前で話すことの不安や不快感が有意に減少した研究結果があります。
さらに、CBDが統合失調症の精神病症状を緩和するという報告や、マウスを使った実験で、CBDがセロトニン受容体を活性化することで、うつに対して効果的に働くということが確認される等の実験結果が報告されています。
CBDは日々のちょっとしたストレスを抱えている方にも効果があり、さらに重い精神症状の治療にも役立つ可能性があります。
2.不眠症の治療に有効
不眠症は多くの方が悩みを抱える代表的な症状のひとつで、不眠症改善のために、多くの方が睡眠導入剤を処方してもらっています。
しかし、薬には個々人によって合う合わないがあり、また常習性が出る、薬剤耐性により効果が薄くなる、といったデメリットもあります。
そのような不眠症の改善にCBDが役立つという説があるのです。
実際に、CBDによって不眠症の方の睡眠時間の延長がみられたという実験結果があり、大規模な臨床実験としてCBDの摂取によって25mg摂取させたところ1ヶ月後には、そのうちの79.2%が不安の解消、66.7%が睡眠の改善が報告さました。
このように、CBDには精神のリラックスや不安の軽減の効果によって、不眠の症状を和らげる効能があります。
また、常習性のリスクも低く、安心して使用することができます
3.CBDは依存症や中毒を緩和する
CBDはマリファナと違って精神作用や依存性はないことは先ほど説明した通りですが、逆にその他の要因で起こる依存症や中毒といった症状の改善に効果があるとも言われています。
世界的に常用性やそのことによる健康被害が多いとされているタバコですが、CBDはタバコの消費を抑えるのに有効であるというデータが出ており、CBDの摂取によってタバコを吸う本数を40%抑えることができたという報告もあります。
タバコと同様に依存性や中毒性が高いとされるアルコールについても、ラットを用いた実験によって、CBDが摂取の減少や依存症再発の予防に効果的であるという結果が出ています。
また、マリファナやコカインなど、その他の薬物依存症や中毒にも効果があることも検証されています。
4.けいれんを抑え、てんかん等の発作に効果がある
CBDの脳神経への作用は、発作等によるけいれんの緩和にも効果的である可能性があります。
2016年の研究で、てんかんの患者200名以上に対してCBDを経口投与しました。その結果、全体的にてんかん発作の有意な減少が確認できたのです。
てんかん等をお持ちの方が使用する際には、事前に専門家に相談し、用量をきちんと決めておくなどの対策をされた上でのご利用ください。
5.神経を保護し、神経変性疾患の治療にも効果がある
成人の脳の神経細胞は、時間の経過によって徐々に失われていきます。
神経細胞の劣化によって、アルツハイマー病や多発性硬化症、パーキンソン病などの神経変性疾患が引き起こされることがあります。CBDはそういった神経変性疾患にも効果があることが示されています。
ドイツで2014年に行われた研究では、多発性硬化症の患者276人にCBDを投与したところ、75%の方にけいれんの軽減がみられました。また、CBDがパーキンソン病の治療にも効果があり、患者の幸福感や生活のクオリティを向上させたという報告もあります。
さらに、アルツハイマー病にも有意な結果が出ています。CBDには炎症を軽減し神経を保護する働きがあることが知られ、また認知機能低下を予防するのに役立つという報告もあります。
6.痛み・炎症を緩和する
CBDは身体が損傷して起こる痛みや体内の組織の炎症で起こる痛み、神経損傷によって起こる痛みなどの様々な種類の痛みを緩和することが知られています。2008年に発表された論文では、CBDが多発性硬化症や癌などによる痛みに効果的に働くことが示されました。
現に、イギリスやカナダでは多発性硬化症の痛みを軽減するためにTHCとCBDの組み合わせで作られたサティベックス(Sativex)という治療薬が承認・使用されています。その他、慢性痛、筋肉痛、脊髄損傷など、さまざまな痛みにCBDは効果を発揮すると言われています。
7.血圧を下げ、心臓病のリスクも軽減する可能性がある
CBDオイルは高血圧の緩和に関わることが知られています。
ある研究では、CBDを投与した後に、運動や寒さなどのストレスを与えた成人男性グループは、CBD非投与のグループに比べて血圧が低く、また心臓の機能効率も上がっていたことが分かりました。
このことから、CBDがストレスなどによって引き起こされる高血圧を抑えるなど、心臓の健康維持に関わり心臓病のリスクを低下させる可能性があると考えられています。
8. ニキビなどの皮膚トラブルにも効く
ニキビは思春期にできるものと大人になってできるものと2種類あります。前者は皮脂が過剰分泌され毛穴が詰まることで起こり、後者は睡眠不足や過度なストレスなど様々な要因で起こります。
試験管研究によって、CBDオイルが過剰な皮脂の分泌を防ぎ、抗炎症作用があることが示されており、CBDが皮脂の分泌を軽減し炎症も緩和するためニキビの予防や治療にも役立つのではないかと言われています。
また、CBDオイルを患部に塗ることで皮脂が抑えられ、また経口摂取や舌下摂取によって、身体の内側から炎症を抑え効果もあるそうです。
このように摂取の仕方を組み合わせることで、より効果的なニキビ治療が期待できます。
2019年、イタリアで乾癬 (かんせん) やアトピー性皮膚炎で傷跡に悩む被験者に対し、CBDクリームを塗布したところ、皮膚の状態が大幅に改善されるという結果が出ました。この結果から、ニキビを含む多くの皮膚トラブルに対して、CBDの効果が推察できるのです。
9.CBDはがん治療の現場でも期待が集まる
CBDはがんの症状やがん治療の副作用の緩和に役立つという説があります。
ひとつは、がん患者の痛み軽減に効果がある点です。
イギリスでは、CBDががん患者の抱える痛みを大幅に軽減すると示唆される結果が出ました。
また、抗がん剤などの化学療法の副作用の軽減についても注目されています。
化学療法を受けているがん患者の中には、吐き気や嘔吐に悩まされる方がたくさんいます。
このような副作用を軽減する薬はありますが、人によっては効果がみられない場合もあり、そのような時の代替薬が望まれています。
CBDは上記のような化学療法による副作用への効果が示唆されており、またCBDには特定の種類のがん細胞を抑える効果があることが報告されています。
ある試験管研究では、CBDがヒト乳がん細胞の細胞死を誘導するということが分かってきています。
さらに、マウスを使った実験で、CBDが乳がん細胞の転移を阻害することも示されました。
また、CBDをがん患者に投与することによって精神面の安定を図り、前向きに治療に向かえるようにするという効果も期待できます。
このように、がんの治療にもさまざまな点でメリットがありそうなCBDですが、まだ日本においては、残念ながら医療大麻の使用は認められていません。将来CBDが医療の現場で使用できるようになるか今後の法整備が注目されています
使用方法
経口摂取
CBDを直接口から摂取する方法です。
経口摂取に合ったCBD製品としては、CBDオイル、CBDカプセル、エディブル (CBDを配合した食品やドリンクの総称) が挙げられます。摂取したCBDが体内で活用される効率を示す指標として、生体利用効率 (摂取した成分が全身に到達する割合) が用いられますが、経口摂取の生体利用効率は、4~20%です (調査機関によって数値は変動することがあります) 。つまり経口摂取は健康食品やサプリメントの感覚で、気軽にCBDが摂れる利点がありますが、その作用効率はそこまで高くはありません。
特にCBD食品の生体利用効率は6%程度と、とても低いとされています。また、発現時間 (CBDを摂取してから効果が出始めるまでの時間) は30~90分と比較的長く、その代わりに効果の持続時間も6~8時間と長いのが特徴です。
舌下投与
経口摂取の中でも、舌下投与はCBDオイルを舌下に垂らし、90秒ほど置いて口腔内の粘膜から吸収させる方法です。
CBDは毛細血管から小静脈に入り、消化器官と肝臓を通って血液内に到達します。舌下摂取は毛細血管からもCBDが吸収されるため、経口投与よりも吸収が良く、生体利用効率は12~35%と言われます。CBDオイルを使う上では、一般の経口摂取よりも、舌下投与の方が効果は期待できるでしょう。
吸引
電子タバコを使用して、CBDリキッドなどを気化させ肺に直接取り込む方法です。CBD摂取の中では最も早くに効果が現れる方法で、摂取後数秒から数分で効果が現れるという調査結果もあります。しかし、その一方で作用が持続する時間も2,3時間と短めです。生体利用効率は34~46%と非常に高いです。
経皮吸収
CBD配合のパッチやジェル、またはCBDクリームやローション、軟膏を直接皮膚に塗る方法です。患部にCBDが直接作用するため、生体利用効率は最大45%と高めで、25~45分以内に効果が現れるとされています。
しかし、CBDは塗布した付近の細胞、組織、血管にしか入り込めず、血流内を移動することが出来ないため、効果は局所的なものになります。また、人間の皮膚は透過性が低く、CBDを内部に浸透させるには、たっぷりとCBDクリームを使う必要があります。ニキビやふきでものなど、限定的な部位にできた皮膚の炎症に早く対処したい時などには、効果が期待できる方法です。
使用時の注意事項
- 薬を服用している人は医師に相談する
- 少ない量から少しずつ増やしていく
- 疾患を抱えている人は医師に適切な量を相談する
- 副作用が出たと感じたら使用を控える
- 妊娠中や授乳中、または持病を抱えている人も医師に相談する
- CBD製品の製法、配合物、信頼できるメーカーかどうかを確認する
副作用について
依存性や中毒性がなく、心身にさまざまなメリットをもたらすCBDですが、起こりうる副作用に関しても安全性が高いとされています。
<副作用例>
また、CBDの摂取を突然摂取を辞めた場合、以下のような症状も報告されています。
CBDの摂取をやめる場合は徐々に量を減らしていくようにしましょう。
摂取する際は、目安量を大幅に超えた過剰な摂取も控えるようにしましょう。
その他の注意点としては、医薬品を常用している方は注意が必要です。